コーヒーはどこで作られているか考えたことはあるだろうか。
私たちがよく口にするコーヒーは昔から気候変動、貧困問題などさまざまな社会課題に直面している。
SDGsで掲げている17のどのゴールにもコーヒーは深く結びついている。
そこで今回はコーヒーとSDGs。と題して日本や世界の最前線のサステナブルな(持続可能な)取り組みを9つ紹介する。
この記事でわかることは以下のとおりだ。
- 2050年までおいしいコーヒーが飲めなくなるかもしれない
- コーヒーかすをアップサイクルした事例が多くある
- コーヒーとSDGsの関係性は深い
それではさっそくみていこう。
SDGsは急務!コーヒー2050年問題
コーヒー2050年問題はご存じだろうか。
30年後においしいコーヒーが飲めなくなる可能性があると言われている。
地球温暖化の問題は、単なる温度上昇だけではなく雨量や湿度の変化も影響している。
コーヒーが栽培されるコーヒーベルトの地域も例外ではなく、気候変動の影響を受けている。
現在は世界においてコーヒー消費時代を迎えている。これから中国でもブームが来るのではと予想されている。
これからコーヒー農園に起こる問題は以下のとおりだ。
- 気候変化による品質の低下
- 作物が病気にかかりやすくなり生産量の低下
- 経済的苦境のための生産者不足
結果、2050年には高品質でスペシャルティコーヒーの中心であるアラビカ種の栽培地が50%減になると言われている。
そのためにも、日本、世界でコーヒーがサステナブルなものになるための活動が必要となってきている。
コーヒーかすを活用したSDGs事例
世界では年間600万トンのコーヒーカスが廃棄されている。
普段自宅でコーヒーを淹れたあとのコーヒー豆のかすはどうしているだろう。
捨てるだけではもったいない。じつは「脱臭」「肥料」「洗剤」「染料」などにリサイクルすることができる。
そういった可能性に秘めた「コーヒーかす」のSDGs事例をご紹介。
コーヒーかすでコーヒーを飲む!?サステナブルタンブラー
サステナブルグッズを展開するブランド・SUS coffee(サスコーヒー)から「コーヒーかす」を再利用してタンブラーを開発。
タンブラーの蓋部分にコーヒーかすを利用し、コーヒーをイメージさせる色味でシックなカラーで落ち着いているデザインの印象だ。
SUScoffeは他にもコーヒーかすを再利用してノートブックやエプロンなども作っている。
コーヒーかすを使用したチョコレート「COLEHA」
淹れたコーヒーをもったいないからといい、おかかのようにコーヒーかすをご飯にかけて食べている人を見たことがあるだろうか。私はまだない。
しかし、おかか風にしてコーヒーかすを無理して消費しなくてもよい。
発酵技術でアップサイクルプロダクトを開発する有限会社ソーイより、発酵コーヒーかすを使ったチョコレート商品「COLEHA」が販売されている。
特徴は、ヨーグルトのような酸味のある風味を醸し出しながらコーヒーとしての味わいも残した特徴とのこと。
エシカル消費をしたい人は注目したいスイーツだ。
コーヒーかすで機能性ジャケット「ECOALF」
寒いからあたたかいホットコーヒーを飲む人はいるだろうが、コーヒーかすを身に纏う人は少ないだろう。
ヨーロッパ発のサステナブルファッションブランド「ECOALF」は、コーヒーかすを生地の原材料とした機能性中綿ジャケット「KATMANDU(カトマンドゥ)マルチジャケット」を開発した。
1着に約40杯分のコーヒーかすが使用されたジャケットだ。
日常使いからアウトドアシーンでも使える万能ジャケットを着ることによってサステナブルを身に纏うことができる。
コーヒーかすとペットボトルで出来たスニーカー
コーヒーかすとペットボトルは廃棄物の代表格だ。
そういった両者がコラボして誕生したのが、コーヒーかすとペットボトルでできたスニーカー「Rens NOMAD」だ。
1足にコーヒー21カップ分のコーヒーかすと、500mlペットボトル6本分のプラスチックが使われている。
コーヒーかすが持つ消臭効果や吸水性が内側の快適さをサポートし、外側はプラスチックに膜をつくり100%の防水を実現している。
このスニーカーを履いて、SDGsの一歩を踏み出したい。
Rens NOMADクラウドファンディングページ|KICKSTARTER
やさしくSDGsを回していくコーヒーテクノロジー
テクノロジーの技術革新はコーヒーにも応用されつつある。
次にコーヒーテクノロジーで解決するSDGs事例をご紹介。
コーヒー豆のサステナブルなトレード「TYPICA」
自分が飲むコーヒーの生産者ってどんな人だろうと思ったことはあるだろうか。
オランダ発の「TYPICA」は自家焙煎事業者が麻袋一袋から生産者からダイレクトトレードで購入できるサービスだ。
現在、コーヒーの消費は世界で年間2%ずつ上がっているが、生産量はそれほど上がっていない。
コーヒーは昔から仲介会社が複雑に入り、正当なマージンが生産者に渡っていない現状があった。
ダイレクトにつながることによって流通経路の透明性も担保されるのだ。
事業者にとってもこだわりのある生産者と繋がれることはメリットは大きい。
【バリ発】再エネ×ブロックチェーンで気候変動に歯止めを!
気候変動と農家の経済力向上の課題を一気に解決する取り組みがバリ島で展開する日本人の高間剛氏が率いる「su-re.co(シェアコ)」だ。
気候変動により従来の農業を続けることが難しくなり、失業になった農家も多くいる。
そこで高間氏はコーヒーやカカオをのうかにすすめ、農家が作った農作物を高い還元率で買い取る対策をしながら、バイオガスキットを導入して気候変動の問題解決に取り組んでいる。
さらにバイオガスキットを導入したカカオやコーヒー農家のCO2削減量を計測し、CO2排出権として販売できるシステムをブロックチェーンをベースに構築している。
サステナブルな循環とはまさにこのような取り組みなのだろう。
(出典:IDEAS FOR GOOD)
【フィンランド発】実験室から生まれた「培養コーヒー」
農園ではなく、実験室のコーヒーが開発されたことはご存じだろうか。
コーヒーを大量生産する背景には環境問題も存在している。
コーヒー2050年問題のように、おいしいコーヒーの栽培面積が狭まっている。
そういった中、コーヒー消費大国フィンランド技術研究センターは培養コーヒーを開発した。
通常のコーヒーと同じように淹れることができるようだ。味は、苦味やフルーティーさなど全体的に味が薄めなようだ。
近い将来、店頭で培養コーヒーが並ぶ日も近いかもしれない。
コーヒーを通じてやさしくつながるSDGs
最後に、やさしく人のつながりを感じるSDGs事例をご紹介。
【ローソン】MACHI cafeのこだわり
ローソンでホットコーヒーを飲んだことがある人も多いだろう。
ローソンのコーヒーサービス「MACHI cafe(マチカフェ)」はサステナブルな取り組みを展開している。
マチカフェは2011年より環境保全や労働環境向上への厳しい基準をクリアした「レインフォレスト・アライアンス(RA)」の認定農園で生産されたコーヒー豆を使用しています。
RAのマークはカエルの印のマークだ。
大企業のこうした生産者との結びつきは大きな社会インパクトがある。
レインフォレスト・アライアンス認証マークは、持続可能な生産と消費をつないでいく。
障害を持ったバリスタや焙煎士がいるロースタリーカフェ
障害のあるバリスタや焙煎士が活躍するロースタリーカフェ併設の就労継続支援B型の福祉施設が神田にある。
コーヒーを通じて、自立と自己実現を目指すスタッフたちに心を打たれる消費者も多いだろう。
コーヒーと福祉が社会の接点として交わり、人々においしいと喜びを与えている。
循環型社会とはこんなにもやさしい世界なのかと、このカフェに入り浸りたい。
【まとめ】1杯のコーヒーを飲んでSDGs貢献をしよう
いかがだっただろう。
今回は、コーヒーを通じたSDGsの取り組みを9つ紹介をした。
筆者も趣味で自家焙煎をしているが、いつかTYIPICAで麻袋1袋60kgを買ってみたい。
生産者と焙煎カフェ事業者と消費者がコーヒーを通じてつながる世界は、おいしいとサステナブルで溢れている。