嫌われる勇気って「人は変われる」「トラウマを否定する」と提唱するアドラー心理学の話だよね。障害を持っている自分からするとちょっと意識が高すぎるよ
彼氏が発達障害(ADHD)とわかってから、ずっと引きこもっていて私もどうしたらいいか悩んでます。どうしたら…
みなさんは「嫌われる勇気」というベストセラー本はご存知でしょうか。心理学の3大巨頭フロイト、ユングと並ぶアルフレッド・アドラーによる心理学をわかりやすく説明している本です。
筆者はADHDを持っているのですが、この本と出会ったのは障害がわかる前の話です。「人は変われる」「誰でも幸せになれる」というアドラーの主張に感銘を受けたのですが、先天性と言われるADHDをはじめとした発達障害を持った個人はこのアドラーの主張をどのように受け止めたらいいのでしょうか。
障害を持った自分視点でアドラーの主張を受け止め、どのようにADHDなどの障害を持った個人が生きやすくなれるのかを独自解釈していきます。
それではさっそくみていきましょう。
・アドラー心理学の5つのポイント「人は変われる」「課題の分離」「自己受容」「共同体感覚」「他者貢献」
・不幸せなのは障害のせいではない、自分が不幸せな道を選択している
・自分の人生を変えられるのは、自分だけ
・ADHDでも生きやすくできる
アドラー心理学”嫌われる勇気”を表す5つのキーワード
嫌われる勇気は、哲人と言われるアドラー心理学を心得えたギリシャ哲学者と青年の対話形式で展開される話です。当初、青年は哲人は、「お前は悪魔だ」などと罵声を浴びせますが、次第に哲人に論破されてしまいます。嫌われる勇気は283ページあり、筆者は4時間ほどで読破しました。今回は本で主張されているアドラー心理学のポイントを5つでまとめました。
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トラウマを否定する(原因論ではなく目的論)
アルフレッド・アドラーはトラウマの存在を否定します。
ちょっと待ってください。トラウマは誰にでもあって、トラウマが原因で挑戦できないことがたくさんあります。そんな馬鹿な話がありますか!!!
例えば、過去の原因が理由で引きこもった少年がいるとします。原因論で少年が引きこもる理由を考えれば、トラウマがあるから引きこもると考えます。しかし、目的論で考えると「引きこもることで、両親を困らせたい」と考えます。
つまり、過去から今の環境を見るのではなく、今における目的から判断するという考え方がアルフレッドです。
人間の悩みは全て人間関係
アルフレッド・アドラーは全ての人間の悩みは、人間関係であると考えます。人生における3つのタスク(仕事、交友、愛)においても人間関係の問題です。お金に関しても、売上であれば顧客との人間関係、報酬であれば上司との人間関係の問題に置き換えて考えることができます。
その発想はなかったです。たしかにADHDの私は不注意によって悩んでいるのですが、その理由は家族や仕事の人たちを困らせるからです。ADHDに悩むというよりはADHDによった人間関係に悩んでいたのですね。
課題の分離
自分の課題と他人の課題を分けて考えよ!とアドラーは言います。例えば、全く勉強しない子供がいるとします。それでは親にとっての課題はなんでしょうか?「勉強させること」は親の課題と思われる方が多いかもしれませんが、勉強するかどうかは子供の課題です。親としてできる課題は子供が勉強しやすい環境を整えることです。他人の課題に介入しすぎるとトラブルを起こすことになります。
もう一つ例え話で「馬を水辺に連れて行くことはできるが、馬に水を呑ませることはできない」というものがあります。つまり、水を呑むかどうかは馬次第なのです。恋愛、仕事、家族の問題でも同じようなケースはないでしょうか。
最近、ありました。ADHDらしく整理整頓ができない自分に彼女が整理整頓グッズをプレゼントしてくれたのです。結果、何も使ってなくて、彼女に申し訳ないです。結局自分次第。
片付けが苦手なADHDにおすすめな整理整頓グッズをまとめた記事は以下の通りです。
共同体感覚
人の悩みは全て人間関係。そのスタートラインに立つために「課題の分離」が必要です。そしてゴールが「共同体感覚」です。共同体感覚とは、他者を仲間とみなし、そこに「自分の居場所」があると感じられることを指します。
共同体とは、社会、会社、地域、サークル、友人、家族、あなたと私と大小さまざまあります。
共同体の中で周りを仲間とみなし、課題の分離をしながら、周りに感謝を伝えていく。そうして、共同体感覚が次第に得られることができます。大事なのは所属したから得られるのではなく、自ら獲得して行くところがポイントです。
TwitterやInstagramでも同じ障害を持つ方々と繋がっています。これも一つの共同体みたいなものなのでしょう。投稿やアクションすることで自分の存在が認められているような気がして、いっそのこと1万人フォロワーなったらどれだけ幸せなんだろう!と思います。
1万人フォロワーという点については次のポイントでツッコミましょう!
自己肯定ではなく、自己受容
アドラーは自己肯定ではなく、自己受容が大事と唱えます。例えば、60点をとった自分に「今回はたまたま運が悪かった、次は100点取れるだろう」と思うのが自己肯定。一方、自己受容は「60点であることをそのまま受け止め、100点にするにはどうしたらいいか」を考えるのが自己受容です。
課題の分離にも通じますが、物事を「変えられるもの」と「変えられないもの」を見極めるのが重要です。
次は100点を取ろうとする自己受容、本当は100点取れる自分と捉える自己肯定。自己肯定を指標に生きてしまうと常に過去や他人の課題に囚われ、自分でコントロールできなくなるでしょう。
自己受容が重要なのはわかったけど、正直褒められたいことってありますよね?しかもADHDって承認欲求というか、自己肯定感に飢えてますよね。
承認欲求も捨てましょう。例えば、1万人のフォロワーがいたらどれだけ幸せなんだろうとおっしゃいましたが、それはわかりません。そうではなくて、今の自分の状態(フォロワーの数?)を受け入れることで次をどう幸せに生きていくかを考えることが重要です。1万人になればその分、褒められるケースも増えるかもしれませんが、本当にその褒められるから幸せになるという考え方は永続的なものでしょうか。他人が褒めてくれるかどうかは、他人の課題です。自分では決められないのです。
アドラー心理学からADHDなどの発達障害の方が学べる5つのポイント
ここまで青年と嫌われる勇気を紹介するポンコツくんの対談形式でお届けしました。この章ではアドラー心理学でADHDをはじめとした「障害者」は変われるのか?という問いに対して、重要なポイントを5つ紹介します。
・この人生を生きやすくするのは、自分次第。
・世界はシンプル。発達障害という複雑な世界をクリアにするには新たな手法が必要。
・まずは自己受容から。イマココに孤独に生きてみる
・周りに感謝。家族・友人・職場の人を大切にしよう
・障害を持つ自分の特性を未来に生かしていく
この人生を生きやすくするのは、自分次第
課題の分離、そして、トラウマや劣等感、承認欲求を捨てることで、今よりさらに幸せな人生を作り出すことはできます。そのためにどんな行動をしなければいけないか考えるのは大事です。障害という事実は変えることができません。また、発達障害を持っていることを気にしているのは自分だけで、周りは受容していて気にしていないケースも多いです。
世界はシンプル。発達障害という複雑な世界をクリアにするには新たな手法が必要
発達障害、特にADHDは頭の中がごちゃごちゃです。シンプルな世界もごちゃごちゃに複雑になってしまいます。今、もっと幸せに生きたいと考えるのであれば、現状のやり方や考え方ではなく、自分自身で新たな手法で問題を切り拓いていくしかありません。医師は薬を処方することはできますが、薬を飲むかどうか決めるのは自分自身です。自分がこの世界をもっとシンプルで生きやすいものにできるのです。
まずは自己受容から。イマココに孤独に生きてみる
発達障害の自分のここが嫌だ!ADHDの自分に呆れてしまうなどとネガティブに自分を見てしまう気持ちはすごくわかります。それでもネガティブな気持ちはまた新たなネガティブな問題を引き起こすことになります。自分の得意不得意、好き嫌いなどをまず洗い出して自分で把握して、それを受け止めることが重要です。
その自分特有の凸凹を他人と絡める必要もしなくていいです。まずイマココに生きる自分を知りましょう。
まず自分が思うADHDの特性も長所、短所を箇条書きでもいいので書き出してみましょう。
障害を持つ自分の特性を未来に生かしていく
自分の特性を把握した次のステップですが、徐々に自分の得意なことややりがいを見つけることができると思います。その特性を活かして目標を作り、自己受容を大事にしながら、成長していくと良いです。
そのために、実際に行動していくことで特性の良し悪しを見ると良いです。ちょっと行動はできないという方でも、自分で書き出した特性を他人ならどう評価するのか意見を求めてみてください。自分の強みと弱みをブラッシュアップすることができます。
きっと自己受容を続けている中で、周りから賞賛されることも増えてくるでしょう。良い循環が生まれてきます。
周りに感謝。家族・友人・職場の人を大切にしよう
自分の特性も良いパフォーマンスを発揮すれば、周りからも感謝されることが増えるでしょう。横の関係性を大事にする共同体感覚において「感謝」は重要なアクションです。
ただただ相手からの評価を求めるだけではもったいないです。
しっかり感謝と他者貢献が循環することによって、幸福感を得ることができます。
ADHDをはじめとした発達障害の方が”嫌われる勇気”を読む場合の注意点
とはいえです。人は変われるという”嫌われる勇気”を発達障害者が読むときの注意点をまとめました。
障害のせいにして生きやすくなることもある
人生がうまくいかないのは障害のせいではない、自分である。というのがアドラーの考え方なのですが…
ちょっとですね。ストイックすぎる部分はあります。障害によってどうしようもない問題があるのも事実です。だから、障害のせいにすることで生きやすくなることもあると思います。例えば、病院で「ADHD」と診断されて安堵した人も多いのではないでしょうか。
本当に心に余裕がないときはADHDのせいにしても良いと思います。
障害は変わらないから、自分も変わらないという考えをなくす
障害は変わらないから、今後の自分も変わらないし、幸せなんかなれない!と思う方も多いのではないでしょうか。ただアドラーは言います。「誰でも変われる」と。障害が自分を不幸せにしている事実はあるのかもしれません。しかし、しっかり満遍なく観察すると幸せになれるスキマもあります。
障害という特性を持つ自分の人間関係をどのようにして生きたいか考えてみましょう。
障害を持っているから人生上手く生きれないと思っていても、それは他人は全くそうは思ってません。
ADHDでも、発達障害でも人は変われます。
アドラー心理学は出し入れが大事
アドラー心理学はストイックだと私は考えてます。出し入れして活用することが大事だと捉えてます。
筆者は生きにくさを障害のせいにしたいこともあるし、人から褒められまくって承認欲求を満たしたい時もあります。幸せのものさしは人それぞれ違うので、自分でそのものさしを使ってどう生きていくかが重要です。全てはアドラー心理学だけで成り立つわけではないのです。しかしながら、アドラーの考えによって障害を持つ不幸せな自分を断ち切ることもできると考えてます。
だから何度でも言いますが、ADHDの自分でも、人は変われる、そう信じてます。
【まとめ】発達障害の自分だからこそ嫌われる勇気を持って生きやすくしよう
いかがでしたでしょうか。
今回は、もしも発達障害が嫌われる勇気を読んだら。アドラー心理学からADHDが生きやすさを学ぶを紹介しました。
何度も言いますが私はアドラー心理学は出し入れが大事だと思います。その上で「感謝」「自己受容」はすぐにでもできることだなと思ったので自分の生活に取り入れていきたいと考えます。
この記事をきっかけに発達障害やADHDでも生きやすくなることもお祈りしてます。課題の分離的に言えば、生きやすくするのはあなた次第です。
それではこの記事を読んでくださりありがとうございました。
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