【保存版】編集者が選ぶ「大人のADHD・発達障害」のおすすめ本9冊

発達障害

大人になってからADHDだと診断されたが、どういうものなのかよくわからない

身近な人にADHDの診察がおりた。今後どう関わっていけばいいんだろう?

「自己チェックリストでは『あなたはADHDの疑いがあります』と言われるけど、専門医の診察を受けるのはためらっている」


大人のADHDや発達障害についての認知度が少しずつ上がってきている今、こうした疑問や不安を持っている方は多いのではないでしょうか?
この記事では、そんな方々に向けて、「大人のADHD・発達障害」に関する本をいくつか紹介していきます。

私は小さな会社で、医療系の書籍や雑誌の編集者として働いています。同時に、双極性障害とADHDの当事者でもあります。

今回はそんな私が、大人のADHDに関する本のなかで、当事者・編集者の双方の視点でふりかえって「イチオシ」と感じた本を、9冊にしぼって紹介していきます。

  1. ADHD・発達障害当事者の編集者が本を読む理由
    1. 正確な情報が得られるから
    2. 自己受容につながるから
    3. 特性の理解や自己コントロールにつなげる
    4. 周囲の人に本を渡して、ADHD・発達障害を理解してもらえるから
    5. 医師とのコミュニケーションがとりやすくなるから
  2. ADHD・発達障害のおすすめ本9冊
  3. 【入門編】ADHD・発達障害当事者が書いた本
    1. カレー沢薫『なおりはしないが、ましになる1』(小学館、2021)
    2. 姫野桂『発達障害グレーゾーン』(扶桑社、2018)
  4. 【中級編①】医師が一般人向けに書いた本
    1. 榊原洋一・高山恵子『図解 よくわかる大人のADHD』(ナツメ社、2010)
    2. 加藤俊徳『ADHDコンプレックスのための”脳番地トレーニング”』(大和出版、2020)
    3. 岩波明『大人のADHD――もっとも身近な発達障害』(筑摩書房、2015)
  5. 【中級編②】女性のADHDについて医師が解説した本
    1. 宮尾益知『女性のADHD』(講談社、2016)
    2. 岩波明『医者も親も気づかない 女子の発達障害――家庭・職場でどう対応すればいいか――』
  6. 【上級編】医師が医師向けに書いた専門書
    1. 樋口輝彦・齊藤万比古監修『成人期ADHD診療ガイドブック』(じほう、2013)
  7. 【番外編】
    1. 岡田尊司『過敏で傷つきやすい人たち HSPの真実と克服への道』(幻冬舎、2017)
  8. 【まとめ】本を読んでADHD・発達障害への理解を深めよう

ADHD・発達障害当事者の編集者が本を読む理由

なぜADHD・発達障害当事者の私が本をおすすめするのか?それには5つの理由があります。

正確な情報が得られるから

記事の冒頭にあげたような疑問や不安をいだいた人は、まずはネット上で[大人 ADHD][大人 ADHD 特徴]などと検索する人が多いのではないでしょうか?
もちろん、検索すれば、ある程度の情報は得られます。しかし、インターネットの記事と、数百ページある本とでは、情報の量や濃さはまったくちがいます。

また、ネット上の情報は、当然ながら良いものもあれば、間違っているものもあります。
当事者でも専門家でもない人たちの、気軽な、ときには心ない情報発信も増えてしまっているように感じます。
発達障害当事者や周囲の人が、その情報によってますます不安を感じたり、傷ついてしまったりしたら元も子もありません。

自己受容につながるから

大人のADHDの人たちは、失敗続きの人生で、「自分は何をしてもダメなんだ」と、自己肯定感がいちじるしく下がってしまっていることが多いです。

本を読んで正確な知識を得たり、他の当事者のことを知って「そうそう、あるある」と思うことで、「自分がこれまでつらかったのは、脳のかたよりのせいなんだ」と、自分をちょっぴり受け入れやすくなる。私はそう思っています。

特性の理解や自己コントロールにつなげる

発達障害には、根本的な治療法はありません。ADHDの場合は薬物治療があるとはいえ、治療のゴールは「特性を少し軽くすることで、日常生活を送りやすくする」ということにすぎません。中には、薬の副作用がきつくて服用ができなくなる人や、薬にあまり効果を感じないという人もいます。(もちろん、薬がよく効く人もたくさんいるので、未治療の方はこれを読んでも「薬には効果がないんだ…」と思い込まないでくださいね!)

ですから発達障害の人たちにとって、環境調整やソーシャルスキルトレーニングなど、薬以外の治療法がとても重要になってきます。「自分がどんなときに、どんなパターンのミスやトラブルをおこしやすいのか」を知って、それを防ぎやすい環境を作ったり、自己管理の方法を探っていく方法です。

大人のADHD本には、発達障害の人たちの特性と、「なぜそうなってしまうのか」という原因、生活上の工夫の提案などがまとまって書かれています。本を自分のトリセツだと考えて、書かれていることを自分なりに実践したり工夫したりすることで、生活を少しずつ楽にすることができるはずです。

周囲の人に本を渡して、ADHD・発達障害を理解してもらえるから

周囲の人に本を渡して、自分の特性を理解してもらうことも有効です。自分にはない視点から「こうしたらいいんじゃない」というアドバイスをもらったり、声かけなどのサポートをしてもらえるかもしれません。

医師とのコミュニケーションがとりやすくなるから

大人の発達障害は、精神科の専門医であっても、なかなかうまく診断をすることができないと言われています。

とくに、大人になって発覚するADHDの人の多くは、周囲の先回りのサポートや、本人が人知れず努力することによって、特性がわかりにくくなってしまっているケースも多いです。
医師に困りごとを話しても、「そんなのみんなおなじだよ」と深刻にとらえてもらえないこともあります。

また、発達障害の人は、ストレスや自己肯定感の低下などから、うつ病や不安障害などの二次障害を発症してしまう人も多いです。精神科の専門医も、二次障害のほうに気をとられ、裏にひそむ発達障害を見逃してしまう…ということも少なくありません。

そこで私がおすすめするのは、「本を読んで、医師に理解されやすい言葉で話す」という方法です。
本を読めば、「小さいときの自分はまさにこうだったな」「今はこういうことで困っているな」と考えを整理することができます。

また、「え!これも発達障害の特性だったの?!」と、知られざる自分の側面に気がつくこともあるかもしれません。

もちろん診察のときに嘘をついてはいけませんが、本に書いてあることを参考に、自分の特性を整理し、まとめて話すことで、医師とのコミュニケーションがとりやすくなります。まとめて話すのが苦手という人は、診察のときに本をもっていって、見せながら話すのもいいと思います。

医師とやりとりするときの便利な道具として、本を有効活用してみましょう!

ADHD・発達障害のおすすめ本9冊

ADHD・発達障害におすすめの本を当事者の私が紹介します。

おすすめの本は5つに分けて紹介します。

・【入門編】
・【中級編①】医師が一般人向けに書いた本
・【中級編②】女性のADHDについて医師が解説した本
・【上級編】医師が医師向けに書いた専門書
・【番外編】

先におすすめの9冊を紹介します。

発達障害・ADHDにおすすめの本


・カレー沢薫『なおりはしないが、ましになる1』(小学館、2021)
・姫野桂『発達障害グレーゾーン』(扶桑社、2018)
・榊原洋一・高山恵子『図解 よくわかる大人のADHD』(ナツメ社、2010)
・加藤俊徳『ADHDコンプレックスのための”脳番地トレーニング”』(大和出版、2020)
・岩波明『大人のADHD――もっとも身近な発達障害』(筑摩書房、2015)
・宮尾益知『女性のADHD』(講談社、2016)
・岩波明『医者も親も気づかない 女子の発達障害――家庭・職場でどう対応すればいいか――』
・樋口輝彦・齊藤万比古監修『成人期ADHD診療ガイドブック』(じほう、2013)
・岡田尊司『過敏で傷つきやすい人たち HSPの真実と克服への道』(幻冬舎、2017)

ぜひ自分にあう本を見つけてみてくださいね。

【入門編】ADHD・発達障害当事者が書いた本

まずは入門編から2冊紹介します。ADHDや発達障害に関する本は専門書のようで読みにくい、理解しにくいことも多いです。この2冊であればラクにADHDと発達障害を理解することができますよ。

カレー沢薫『なおりはしないが、ましになる1』(小学館、2021)

読みやすさ:★★★★★

漫画家でありコラムニストとしても活躍されているカレー沢薫さんが、ご自身の体験をもとに描かれたコミックエッセイです。

集中力が続かず仕事が進まない、片付けができない、人とのコミュニケーションが苦手。そんな悩みをもつカレー沢さんは、担当編集者に協力してもらってクリニックを受診し、「不注意型ADHD」「ASDの傾向あり」と診断されます。

本を読んだり、当事者の集まりに参加したりすることで自分の特性への理解を深め、さまざまな工夫をしていくことで、決して「なおりはしない」けれど、少し「まし」な生活が送れるようになる――。そんな作者の実体験をつづった作品です。


ADHDやASD傾向のある人の「あるある」エピソードや心情が、ギャグをまじえて紹介されていて、思わず笑いながら共感してしまう作品です。

受診や検査・投薬治療などの様子もわかりやすく描かれており、作者の診察にあたった医師による解説ページも充実しているので、「自分はADHDではないか」と悩んでいる方にも、ADHDのことをもっとよく知りたい人にも、気軽な入門書としておすすめの一冊です。

姫野桂『発達障害グレーゾーン』(扶桑社、2018)

読みやすさ:★★★★☆

フリーライターとしてさまざまな雑誌やWEBで執筆されている姫野桂さん。ご自身も、算数のLD(学習障害)であり、ADHDとASD(自閉症スペクトラム症)の傾向がある、という診断を受けているそうです。

発達障害は、「ここからが障害」「ここからは普通の人」という明確な線引きがあるものではありません。「定型発達でもないけれど、正式に診断されるほどでもない…」という「グレーゾーン」と呼ばれる人たちがたくさんいると言われています。

グレーゾーンの人たちは、発達障害が「クロ」の人たちより困っていないのかというと、そうとは限りません。周囲から理解されにくく、本当は不得意なことでも、もがきながら周囲に必死についていかなければならない…そんな状態のまま苦しんでいる人たちも多いのです。

この本で、姫野さんは、日本で唯一「グレーゾーンの人たちがあつまる会」である「ぐれ会!」に参加し、取材をしています。そして、グレさんたちのさまざまな生き方や悩み、グレさんたちがどのように工夫して生き抜いているかについてまとめています。

「自分は発達障害なのかどうなのかわからない」、「医師に困りごとをうったえたのに診断がおりなかった」――そんな悩みをかかえる人におすすめです。

【中級編①】医師が一般人向けに書いた本

続いて中級編①として発達障害やADHDを診断する側の医師目線で書かれたおすすめの本を紹介していきます。

榊原洋一・高山恵子『図解 よくわかる大人のADHD』(ナツメ社、2010)

読みやすさ:★★★☆☆

専門医が一般の人向けに書いた、オーソドックスな解説書です。絵がたくさん入っていて、文章もやわらかめで読みやすいです。「かたい本を読むのは苦手」という人にもおすすめです。

この本は、「大人のADHD10の困りごと」という章からはじまります。多くのサイトや本では、まず「ADHDの症状は多動性、衝動性、不注意で~」という通りいっぺんの説明から入ることが多いのですが、この本は最初に、当事者の困っている気持ちに寄り添うところからはじまります。「そうそう」と共感しながら読みはじめられるところは、編集者としても、見習うところの多い構成です。

「ADHDとは何か」「ADHDはどうやって診断し、どんな治療法があるのか」という障害の解説はもちろん、「学校や職場、家庭でADHDの人が抱きがちな困りごとと、具体的な対処法」など当事者向けアドバイスも豊富です。


また、ADHD当事者の周囲の人(家族・友人・職場仲間など)に向けて、「どんな支援ができるか」と書いた章もあります。周囲の人に渡して、一緒に読むのもおすすめです!

加藤俊徳『ADHDコンプレックスのための”脳番地トレーニング”』(大和出版、2020)

読みやすさ:★★★★☆

ADHDについて医師が書いた本のなかでも、かなり異色の部類だと思います。筆者の加藤俊徳先生は精神科医ではなく、最先端の脳の研究にたずさわってきた方です。

普通の本では、「ADHDの人にはこういう症状があります」とか「ADHDの人は脳の神経伝達の働きが弱く~」といった解説にとどまるところを、この本は「脳を鍛える」という視点で、ADHDの特性の解説と克服方法について一歩踏み込んだ内容が書かれています。…と、こう紹介すると「難しい本なんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、実際は非常にやさしい言葉で書いてあります。囲みや太文字などが多用されているため、視覚的にメリハリがあって、斜め読みでも頭に入りやすいよう工夫されています。

加藤先生によれば、脳は似たような機能をつかさどる神経細胞がそれぞれ集まった「番地」のようなものがあり、感情、記憶、思考、運動など、大きく8つの番地に分かれているそうです。8つの番地がおなじように発達していれば問題はないのですが、とくにADHDの人は番地ごとの発達のかたよりがはげしい。しかし、そのかたより具合によって、かかえる困りごとは異なってくる――ということが書かれています。私が読んだ本のなかで、ADHDの人の困りごとのパターンが、最もくわしく、具体的に書かれている本だと思います。

この本では、ADHDに典型的な症状が目立たない、「発見が遅れるADHD」のパターンについてもくわしく書かれているので、「自分は発達障害なのかどうかわからない」と悩んでいる人にもおすすめです。

読んでいると、目からウロコがポロポロ落ちるような気持ちになることうけあいです!

岩波明『大人のADHD――もっとも身近な発達障害』(筑摩書房、2015)

読みやすさ:★★☆☆☆

発達障害の専門外来があることで有名な、昭和大学烏山病院の病院長をされている、岩波明先生のご著書です。一般人でも読める内容にはなっていますが、文章はかなりかたいです。

この本はまず、「ADHD」という概念が、精神医学の歴史のなかでどのように確立されて、どのように変遷してきたか…という歴史からはじまります。また、ADHDと他の精神疾患の併存や、ADHDとASDの併存などについても、かなり突っ込んで書かれています。

治療法についても、薬物治療や心理社会的治療、認知行動療法、コーチング、グループ療法などのさまざまな治療法が、方法や効果などもふくめてくわしく紹介されています。具体的な事例も豊富です。
入門書や一般向けの本をひととおり読んで、「もっと踏み込んだ情報がほしい!」と思う人、かっちりした本を読むのが得意な人にはぴったりの本だと思います。

【中級編②】女性のADHDについて医師が解説した本

中級編②では、「女性のADHD」に特化した本を紹介します。
女性のADHDは、男性に比べて発見されにくく、また女性と男性では、ADHDの特性のあらわれ方も違います。また家事や育児など、ADHDの人が苦手といわれる役割もこなさなければならないことが多いです。

「女性のADHD」に特化した本は、そうした女性ならではの悩みなどについてしっかり紹介されています。「ADHDの本を読んでも、なんだかしっくりこない…」という女性の方には、こうした本を読むことをおすすめします。

宮尾益知『女性のADHD』(講談社、2016)

読みやすさ:★★★★☆

3冊目に紹介した『図解 よくわかる大人のADHD』よりさらにイラストが豊富で、文章の量は多くないので、長文を読むのが苦手、という人にも読みやすい本だと思います。

ADHDの女性が、幼少期から小学生、思春期、成人期へと成長していくにつれ、それぞれどんな困難にぶつかりやすいか、ということが解説されています。小さいころからつらい思いをしてきた女性は、この本を読んでいやされる部分も多いと思います。

精神科の受診のしかたや、検査から診断の流れなどもくわしく書かれていますし、女性のADHDの診断のおりにくさ、診断基準が女性に不利になっていることなどについても細かく解説しています。受診するのがなんとなく不安…という人も、この本を参考にすると、医師の診察を受けやすくなるかもしれません。

個人的に推せるポイントは、「診断がおりたあとで自分を許せるようになる反面、これまでのことを思い出してかえって落ち込んでしまう女性も多い」ということが書かれている点です。ADHDの女性の細かな心理の動きについて、ここまで踏み込んで書かれてある本はめずらしいと思います。
女性のADHDの方が読むと、味方がふえたような気持ちになるはずです。おすすめです!

岩波明『医者も親も気づかない 女子の発達障害――家庭・職場でどう対応すればいいか――』

読みやすさ:★★★☆☆

5冊目で紹介した『大人のADHD――もっとも身近な発達障害』とおなじ、岩波明先生の本です。

1章から2章は、岩波先生と、女性の発達障害の当事者の人との対談形式で進んでいきます。5冊目とはちがって、ぐっと親しみやすい本になっていると思います。1章は、『透明なゆりかご』やで有名な漫画家で、自分のことをLDとADHD、ASDの「トリプル発達障害」と表現する、沖田×華さんとの対談があります。沖田×華さんのまんがを読んだことがある方は、とくに興味をもって読めるはずです。

この本はADHDに特化した本ではなく、ADHDとASDが併存している人の話がメインになっていますが、ADHDの女性も「わかるなあ」と思いながら読める本になっています。

ADHDであっても、多動や衝動性が目立たず「おとなしい子」と思われがちだったり、「女の子らしくできない、だらしない子だ」と言われて自己否定的になってしまう、「空気を読む」ことをしいられる日本では、女性の発達障害の人は二重の苦しみをかかえる…など、女性の発達障害の人の特有の悩みがくわしく書かれています。

私は、「社会人1~2年目で不適応を自覚して、精神科を受診するというパターンが目立っています。」という一文を読んで、「まさに私のことだ!」とおどろきました。

わが子や家族、職場や周囲に発達障害の人がいるという人向けのワンポイントなども書かれているので、当事者以外の方が読んでも非常にためになる本だと思います。

【上級編】医師が医師向けに書いた専門書

医師が医師に向けに書いた一般人からすると少し手を出しにくい、だけど、専門的で発達障害・ADHDの理解ができるという本を紹介します。

樋口輝彦・齊藤万比古監修『成人期ADHD診療ガイドブック』(じほう、2013)

読みやすさ:★☆☆☆☆

発達障害という概念は、ここ30年くらいで少しずつ知られるようになりました。そのため精神科医であっても、発達障害の専門的な教育を受けていない、という先生は多いようです。この本は、発達障害診療の専門医が、おなじ医師に向けて、大人のADHDの診療について解説したものです。

「大人のADHDとはなにか」という概念の整理からはじまり、診断方法や症状の評価のしかた、ADHDと併存しやすい他の疾患・障害、様々な治療法や患者への社会的支援、治療薬の解説などがくわしく書かれています。専門用語も多く、読みこなすのはかなり難しいと思います(私もわかる部分だけかいつまんで読んでいます)。


専門的な文章に抵抗感がない人で、「お医者さんは自分の何を診て、何を考えてADHDの診断をしているのか知りたい」「単純にADHDについてもっともっと知識を増やしたい」といった、知的好奇心旺盛な人に向いている本だと思います。

5冊目に紹介した『大人のADHD――もっとも身近な発達障害』を読んでからステップアップする、というのが個人的にはおすすめです。

【番外編】

最後に番外編として、一冊紹介します。

岡田尊司『過敏で傷つきやすい人たち HSPの真実と克服への道』(幻冬舎、2017)

読みやすさ:★★☆☆☆

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)という言葉をご存知ですか?生まれつき非常に感受性が強く、敏感・繊細で、生きづらさをかかえている、といった人のことです。ADHDやASD傾向を持つ人のなかには、「自分がHSPではないか」と感じている人も多いのではないでしょうか?

HSPというのは、アメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロンという方が提唱したもので、じつは正式な医学的概念ではありません。先生に「私ってHSPだと思うんです」といっても、ポカンとされたり、「そんな病気はない」と否定されたりした人もいるかもしれません。

この本は、精神科医であり、自分自身も過敏性に苦労してきたという岡田尊司先生が書いた本で、精神医学的な知見にもとづいてさまざまな「過敏性」について論じています。

発達障害者の特性の一つである「感覚過敏/感覚鈍麻(感覚処理障害)」についても考察されています。ADHDの人が、注意力の切り替えや注意の維持に困難を覚えることについても、過敏性がからんでいるのではないか…と書かれています。

ADHDについて、ここまで紹介してきた本とはまたちがった視点で理解を深めるために、個人的におすすめの本です。

【まとめ】本を読んでADHD・発達障害への理解を深めよう

さて、この記事では、大人になってからADHDと診断された人や、その周囲の人、「自分はADHDではないか…」と悩んでいる人向けに、さまざまな本を紹介してきました。

私は、本を読むことは「武装すること」だと思っています。
この社会で、能力の凸凹をかかえながら生きていくことはとても大変なことです。
だからこそ、知識をたくわえて、自分をよりよく知り、さまざまな角度から対処法を考えていく。そういう「旅」をすることで、この生きづらい社会を生き抜く「武器」が手に入る――そんなふうに思っています。
もちろん、インターネットなどでもひととおりの知識は手に入りますが、武器は多く、そして強いにこしたことはありません。それに、くわしく書かれた本を読めば、「これは私だ…」と思う機会もふえます。そういう体験をすればするほど、あなただけのオーダーメイドの武器が、どんどんふえていくのです。
さまざまな患者をみてきた専門家の意見や、自分とおなじように悩んできた当事者の声…そういったより深い知識をえて、武器を強くしてみませんか?
この記事が、みなさんの「旅」のはじまりになれば、とてもうれしく思います。

この記事を書いた人
春川ゆき

小さな会社で医療系書籍・雑誌の編集・ライターをしているアラサー。10代後半で双極性障害を発症、20代後半で双極とADHDの診断を受ける。疾患のある人もない人も、みんなが生きやすい世の中になったらいいなあと思いながら生きています。

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