仕事で他の人よりミスや忘れ物が多い、人との関わり方がわからず周囲となじめない……
ADHDの検査に行きたい気持ちもあるけど、なんだかあと一歩が出ない
日々生活を送る中で、そんな働きづらさや生きづらさを感じている方もいるのではないでしょうか。
こうしたことがきっかけで、発達障害について知ったという方も多いかと思います。
でも実際に検査をして診断がでることに対して、少しは不安になりますよね。
筆者は、この記事を書いている2週間ほど前に発達障害の診断を受けました。
これから検査を受けようとしている方や、迷っている方に少しでも参考になれば幸いです。
ADHDの検査を受けるまでの自分

筆者は今年で30歳になります。
24歳のころに初めてうつ病を発症し、現在まで精神疾患と共に生活してきました。
原因は、仕事でのストレスや対人関係です。
これまで、4か所の精神科の病院やクリニックに転院しています。
2か所目のクリニックでは復職に向けてデイケアというものに通っていました。
週5日1日8時間、復職を目指す方と一緒に、さまざまなプログラムに取り組みます。
デイケアには、発達障害の方もたくさんいました。
しかし、その時は発達障害ではないとの判断により、深く発達障害について知ろうとしませんでした。
復職するには、お医者さんの診断が必要になります。
1年あれば復職できますが、私は2年かかりました。
次第に焦った私は、努力が足りないからだと自分を追い込んでしまうことになります。
復職はできたものの、1年ほどで再度体調を崩し退職することとなりました。
ADHDの検査を受けるきっかけ
家から近いこともあり、退職前に入院していた病院へ転院することとなりました。
退職と同時に入籍し、体調を整えるために専業主婦となりました。
しかし、頑張らないと!と焦って空回りし、体調は悪化…。
新しい担当のお医者さんはわりと早い段階でADHDを疑って、治療薬を試すことになりました。
飲んでみると、頭の中がすっきり整理されたのです。
今までこんなごちゃごちゃした中で暮らしていたんだと思うと、大変だったなと思いました。
でも診断できる環境がなかったのか、検査は受けられませんでした。
1年後、夫の転職により引っ越すこととなりました。
検査を受けていないのに薬を飲んでいることに対するもやもやをどうしても解決したかった私は、発達障害専門のクリニックへと転院することにしました。
これが、検査を受けるきっかけです。
ADHDの検査とは?

ADHDの検査は、発達障害を専門としている病院やクリニックで受けることができます。
現在は、大人の発達障害が広く知られるようになってきたため、予約が取りにくい状況です。
検査内容は、生育歴や困りごとなどについての問診、普段の診察での様子、心理検査になります。
ADHDの検査とは
いくつかの検査を組み合わせておこなわれ、総合的にお医者さんが診断します。
そのため、検査をしたらすぐに結果がわかるわけではなく、診断には時間がかかります。
現在の困りごとに加え、生育歴や家系の中で発達障害や精神疾患がないかなど問診をおこないます。
診察時にはADHDの特性が現れていないかも観察しているそうです。
診察後には、質問形式になっている簡単な心理検査もおこなう場合もあります。
その他には、思考力や作業能力といった、脳の能力に偏りがないかIQを調べるためのWAISという検査もおこないます。
これは臨床心理士さんと2人で、2時間ほどかけておこないます。
ADHDの検査にかかる費用は
保険診療(3割負担)の場合にかかる費用の目安は以下の通りです。
・初診料:約2000~4000円
・再診料:約1500~2000円
・知能検査:約1350
筆者の場合は、自立支援医療受給者証を持っているため、診察や検査費用は1割負担になります。
5回通院(1回は臨床心理士さんとの検査)し、転院前の病院の紹介状を含めて、診断までに約2800円かかりました。
ADHDの検査結果がわかるまでの期間は
ADHDの診断は初診でつくことがなく、複数回の診察や検査をおこなった後に結果がわかります。
そのため約1か月から2か月ほどかかるケースが多いです。
筆者の場合も同じで2か月かかりました。
転院前の病院のお医者さんが、私の困りごとや特性について、きっちり紹介状に記載してくれていたようで、転院先のお医者さんへ情報を伝えることについては、スムーズにおこなうことができました。
【本音】ADHDと自分がわかって思ったこと

冒頭でも述べた通り、筆者は20代の半分を精神疾患と共に過ごしてきました。
診断を受けてからまず思ったことが、早く知りたかったということです。
同じ失敗を繰り返してきた時間が、もったいないと感じました。
それはそれで必要な時間だったのかもしれませんが。
できないことはとことん追及し、できるまで諦めない、0か100の世界。
これが筆者を苦しめ、間違った方向へと努力が向かってしまっていたようです。
周りの人と同じようにできないのは自分のせい、と日々追い込んでいました。
実際に診断を受けてからは、特性のせいでもあったんだと、安心しました。
もちろん、すべてADHDの特性のせいにするのは違うのかなと思っています。
自分の性格と特性を分けて今後を生きていくことが、大切だと考えています。
いまADHDかどうか悩む人に伝えたい3つのこと

今生きづらさを感じていて、自分もADHDでは?思っているけどなかなか受診に踏み出せなかったり、困りごとを抱えていたりしている方に伝えたいことがあります。
ADHDは病気ではなく脳の特性
ADHDは病気ではなく脳の特性です。
診断を受けたらずっと特性と向き合って生活していくことになります。
世の中にはどう対処すればよいかの情報がたくさんあります。
診断を受けたことによっていままでどうしたら良いのかわからなかったことに対して、さまざまな道(方法)があることを教えてくれました。
生きづらいけど、自分では処理しきれない、どうにもならないのであれば受診をしてみるのもおすすめです。
抵抗があれば、まずは一冊読みやすい本を購入してみるのもいいでしょう。
ヒントがたくさん掲載されています。
ポンコツドリップでは医療系出版の編集者であるADHD当事者がADHDを理解するためにおすすめの本も紹介しているので合わせてお読みください。
それぞれだが、悩みを抱えている人はたくさんいる
自分がADHDの可能性があるとお医者さんに言われてから気づいたことは、世の中には同じ悩みを抱えた人が思ったよりもたくさんいるということです。
ADHDの診断を受けることによって、これは自分の性格、これは特性と分けて考えることができるようになります。
これは生きていく上でのメリットになると思います。
全部自分のせい、性格のせいにしてしまうと疲れてしまいます。
性格を変えることはなかなか難しいです。
しかし、特性に対してはさまざまな対処法があるので、方法が合えば少しは生活しやすくなるかと思います。
受診することは悪いことではない
自分はADHDかもと思っていても、受診することに対して抵抗のある方もいるかと思います。
筆者も自分はおかしな人間なのではと悩み、薬を飲むのも嫌でした。
でも、コロナ禍でのストレスや、大人の発達障害の認知度が上がったこともあり、受診者数も増えています。
そのため、通うことは何も特別なことではなくなってきました。
ADHDかもと悩んでいる方は現在相当辛い思いをされていると思います。
筆者は無理をした結果、さらに病状が悪化した過去があります。
同じ思いをして欲しくないので、一度受診を検討してみてください。
【まとめ】ADHDの検査は生きやすくするためのスタート
私にとってADHDの診断は、これから自分自身がどう生きていくか、周りとの関係をどう築いていくかを考えるよい機会になりました。
「発達障害だからできない」と特性のせいにして諦めてしまうのはもったいないと考えています。
「なにができるか、どうしたら生きやすくなるのか」を模索しながらこれからは生きていきます。
ADHDの特性に対して、対処法が合わなかったらその度修正していく。
スタートラインに立ったばかりですが、これからは自分自身を受け入れて生きていきたいです。
ADHDを生きやすくするための便利グッズをおすすめしている記事も合わせてご覧ください。